最近、パソコンの高精細化が進み、それに伴いモニタも4Kや5Kという非常に高解像度のものが次々登場するようになってきましたが、正直なところ大半の人にとっては4Kや5Kモニタはオススメできないように思います。
そこで今回はそう考える4つの理由について語っていこうと思います。
※2020/9/26追記
2020年時点で4Kの映像コンテンツはまだまだな印象ですが、PS5は4K対応するなどゲームの方はだいぶ充実してきました。この記事は2017年時点のものですので内容はやや古めです。参考程度にどうぞ。後半にも追記ありです。
スケーリング時の作業領域は普通のモニタと変わらない
おそらく大半の人にとってモニタを買う目的というのは「作業領域の拡張」だと思いますが、一般的な23〜27型という画面サイズの4K、5Kモニタの場合、そのままの解像度だと細かすぎてまともに作業ができません。
そこでそのような高解像度モニタは標準で「スケーリング」というものを行っているのですが、これを行うことで作業領域が普通のモニタと変わらない状態になります。
具体的には
4K(3840×2160)を200%スケーリング→作業領域がフルHD(1920×1080)と同等
5K(5120×2880)を200%スケーリング→作業領域がWQHD(2540×1440)と同等
といった具合に変換されるわけです。
最近だと4Kモニタは23.8型、5Kモニタは27.0型が一般的ですが、これらを買っても作業領域自体は23.8型フルHD、27型WQHDを買った場合と変わらないわけです。
もちろんスケーリング値を変更すれば作業領域の拡張はできます。
しかしスケーリングを200%以外にしてしまうと、ちょうど4倍できれいにスケーリングされていたピクセルがずれることになり、本来の画質を再現できないという現象が起こってしまいます。
そのため通常はスケーリング値は極力200%に設定しておくのが無難なのです。
普通のモニタよりPCへの負荷が高め
高解像度モニタ最大のデメリットが普通のモニタよりPCへの負荷が高めであるということです。
何しろ画素数は普通のモニタの4倍になっているので、それだけ表示する際の負荷がかかり、それに加えてスケーリングもしているので、PCへの負荷が格段に高くなるというわけです。
一応、最近のPCは4Kや5Kモニタへの対応が一般的になり、効率化も進んでいますので、単純にモニタに表示するだけならまだ負荷は少ない方です。
しかし本当の問題は4K、5Kのゲームをしたり、高度な写真、動画編集をしたりするときです。これらの作業を行うときは4K、5Kモニタの場合だと凄まじくPCに負荷がかかります。
ちょっと細かく見えるだけで実際に行う作業やその領域はほとんど変わらないのにPCへの負荷はまるで違います。
実際にゲームのベンチマークを見てみるとわかりやすいでしょう。
以下は超ハイエンドGPU GeForce 1080を用いたFFXIV 蒼天のイシュガルドベンチマークのフルHD、4Kのスコア結果です(画像参考:jisaku-game.com)
フルHDの場合
4Kの場合
比較結果
見ての通りフルHDと4Kでは同じGPUでもここまでスコアが変わります。
おおよそ半分のスコアとなっています。
上のGPUは超ハイエンドモデルなので、4Kでも一応快適に動かせていますが、普通のGPUなら4Kで快適になることはほぼないでしょう。
高解像度=高画質ではない
よく高解像度モニタを購入する人で勘違いすることが多いのが、高解像度=高画質というものです。
たしかに解像度は画質に影響する重要な要素の一つでありますが、必ずしも高解像度=高画質とは限りません。
モニタの画質の話を少ししますと、画質を決めるのに重要なのは解像度よりも「色」であることが多いです。なにしろ解像度はただのドットの数にすぎず、極端な話いくら高解像度でも白と黒の2色しか表示できなかったら意味がないわけです。
むしろ本当に画質の良いモニタを選ぶ際に見るべきは色域、表示色、色正確性の3点であることが多いです。
詳しくは以下の記事で語っています。
最近は4Kや5Kモニタの値段が安くなり、10万円以下で買えるものも多くなっていますが、4Kでも5Kでもない色にこだわったプロフェッショナル仕様のモニタがいまだに20万円以上するものもあります。
EIZOのColorEdgeシリーズなどがそうですね。↓がそのモニタの一例です。
実際プロほど解像度ではなく、色にこだわっているわけです。
4Kコンテンツ以外を見るとむしろ画質が悪くなる
これも4Kモニタの大きなデメリットの一つであるのですが、4Kモニタで4Kコンテンツ以外を見るとむしろ画質が悪くなるということがあります。
高解像度なのにむしろ画質が悪くなるってどういうこと?
と思うかもしれませんが、身近な例で考えるとわかりやすいです。
例えば、フルHD(1920×1080)のスマホがあったとしてそのスマホでDVD画質(720×480)の動画を見たとします。そうすると間違いなくぼやけて見えるはずでしょう。
これは単純に見る動画の画素数の問題もありますが、スマホ自体の画素数も関係しているのです。
これで仮にスマホが720×480ピクセルで、同じDVD画質(720×480)の動画を見たとすると、今度はぼやけて見えないはずです。
一体なぜこのようなことが起こるのかといいますと、ディスプレイの構造とスケーリングが関係してくるわけです。
ディスプレイは基本的に一つ一つのドットが人間がはっきり見分けられるようにしっかり分けられています。そのような構造で、1つのドットをスケーリングして2つ以上のドットで表現してしまうと同じドットでも1つのドットを1つのドットで表現する(これをドットバイドットと言います)普通のモニタのときよりぼやけて見えてしまうわけです。
実際に図で表した例が以下の通りです。
上の白黒のドット画像はもともとは16×16のサイズで、スケーリングせずに256×256に拡大したものです。
この画像をスケーリングして256×256で拡大表示すると
こうなります。白黒の境界が明らかにスケーリングしていない画像よりもぼやけています。
高解像度モニタで低解像度映像を表示するイメージとしてはほぼこのような感じです。
この現象はもちろん画像だけでなく動画を見たときにも現れ、例えば4KモニタでフルHDの動画を見るとフルHDモニタでフルHDの動画を見たときよりもぼやけて見えるはずです。
ちなみにテレビ業界ではこれをどうにかするため4KテレビでのフルHD動画などの滑らかなスケーリング(アップコンバートとも言います)に力を入れてたりします。
まとめ
上記のように一見すると魅力的に思える4K、5Kモニタもこうした多くのデメリットがあるわけです。
正直4Kコンテンツが増えつつあるとはいえ、まだまだ一般的ではない状況を考えますと、4K、5Kモニタは大半の人にとってはオススメできない製品であると言えるでしょう。
ただ、上記のようなデメリットをふまえても高解像度であることに価値を感じる人、例えば
4K、5K動画編集などを行いたいという人
アプリなどの開発者で高解像度化するスマホと同じ状況が再現できるようモニタも高解像度化したいという人
などにとっては必要なものだと言えるでしょう。
逆に
ただ作業領域を拡張したい人
特に4Kを活かすコンテンツがあるわけでなく、なんとなく魅力的だからほしいという人
にとっては現時点ではあまりおすすめできないでしょう。
これらの点をふまえて本当に4K、5Kモニタが自分に必要なのか冷静になって考えてみてください。
別に高解像度モニタでなくともいい製品はいくらでもありますので
個人的には以下のようなモニターがオススメです
※2020/9/26追記
今から購入する場合は4Kモニターもオススメできる時代となってきました
今後は4Kコンテンツ(特にゲーム)が充実してくるものと思われますので、将来性を考えますと4Kモニターもありです。
2020年でオススメの高画質4Kモニターは以下の記事が参考になります。
コメント
無理矢理
やっぱりそうですか〜。グラボ1080でメモリ16Gの私のPCでもフォトショで色々やってるとすぐ重たくなりますもんね。
コンテンツもロクにないですし、4Kはまだ時期尚早なのかもしれないですね。
作業領域増やすならスケーリングは100%だろ
なんで200%推薦するのか理解できん
「正直」は不用な
27型以下の拘りが解らん
60型以上で話を纏めてくれ
>27型以下の拘りが解らん
27型以下でまとめている理由はあくまで一般的な”モニタ”のサイズに限定した話だからです。
60型以上の”モニタ”は業務用以外で一般向けに販売されているものはほとんどありませんので。
おそらく60型以上での話を要望しているのは”テレビ”の話かと思います。
“テレビ”と”モニタ”とでは意図している用途が違うので、今回はPCを接続して表示する用途がメインの”モニタ”に絞った話をしています。
その点ご了承いただければと思います。
ちなみにですが、60型クラスの大型ディスプレイに4K、5K表示するのは個人的には大賛成ですね。
そのくらいのサイズであれば4K、5Kを100%スケーリング表示しても見やすく快適に使えることかと思いますので。
とても良い記事だと思います。作業領域を増やしたいのなら1080Pを数枚並べてマルチモニターにした方が遥かにに使いやすいですしね。4Kコンテンツがまだ充実していない現状では有料のネット配信動画などを視聴してもピンボケに見えるだけですね。
こういうネタ流行ってんの?
なんで5kがXB2779QQSの27インチしかないんだ。
40インチくらいのを出してくれればそれでいいのに
やはり相当至近距離から見ないと100%での作業は無理かぁ
4Kモニタ-画質を実際この目で見て購入を検討した方がいいと思いPCショップで陳列されている4Kモニタ-を間近で見て画質確認、デモPVを鑑賞しましたが
正直、私の持っているLG製23インチのフルHDモニタ-と比較して画質はほとんど変わらかったです、本当に記事の通りでした。4Kモニタ-は40インチ~50インチ以上クラスでなければ使う意味ないですね、私の部屋では40インチ~50インチ以上はデカすぎて無理です。あと数年位様子見て4Kモニタ-の技術進歩、性能向上を待った方が得策かと思います。
店頭でのモニタを確認では、モニタに相応した解像度の映像を出しているか否かがポイントです。先般、訪問した店舗では、4KモニタにFHD画像を出していました。当然、隣のFHDモニタとの差が微妙でした。
また、イタヅラに発色の強いモニタと並べられると、適切な発色をしていても、それが正しいのか判断がしづらくなります。
当然、モニタの置かれている環境(背景の色、明るさ、照明)により見え方も変わります。
なので、これらのことも加味して、バイアスを排除して判断されることをお勧めします。
おそらく大半の人にとってモニタを買う目的というのは「作業領域の拡張」だと思いますが、という事は仕事や作業目的ということだよな?
白と黒だけでは意味がないとは支離滅裂すぎだろwww
色塗りお絵かき用かよwww
アホなんですか?
モニターの話なのになんでグラボのこと言い出してんだ?
ゲームを4Kで遊ぶ人にとっては4Kモニターは必須だろ
ご指摘の通り、モニタにおける正しい色が表現されること(色域、表示色、色正確性)は重要なファクタだと思います。
これに加えて、解像度、という考え方が重要なのだと考ます。
解像度の高いモニタを使うのであれば、相応のグラボの用意が必要なのは当然です。
併せて、適切なスケーリングができるソフトが用意されていることも前提となります。
4K、5Kを使うメリットの一つとして、フォントの鮮明さがあります。
確かに、
> 5K(5120×2880)を200%スケーリング→作業領域がWQHD(2540×1440)と同等
と、作業領域はそうなりますが、その中での情報量が異なります。
適切なスケーリングが行われば 4倍の情報量で表現されますから、視認性が極めて高くなり、認識負荷が減り本来作業に集中できます。
また、グラフィックデザインを行う場合においても同様なことが言え、繊細な線の表現が再現されます。
ここで鍵となるのは、スケーリング処理が適切の行われるか?です。
OSによっては、フォントのスケーリングができず、ボケボケになるものがあります。
同様に、画像のスケーリングがうまくなく、指摘の通りボケるものもあります。
しかし、適切に処理されるものでは、そのようなことはありません。
必ずしも、作業領域(広さ)と表示情報量(情報量)が同じでないこと、誤解無いようにされた方が良いかと思います。
ご指摘ありがとうございます。
>ご指摘の通り、モニタにおける正しい色が表現されること(色域、表示色、色正確性)は重要なファクタだと思います。
これに加えて、解像度、という考え方が重要なのだと考ます。
こちらについては本記事中でも「解像度は画質に影響する重要な要素の一つ」と述べているように同意見です。
>4K、5Kを使うメリットの一つとして、フォントの鮮明さがあります。
> 5K(5120×2880)を200%スケーリング→作業領域がWQHD(2540×1440)と同等
と、作業領域はそうなりますが、その中での情報量が異なります。
適切なスケーリングが行われば 4倍の情報量で表現されますから、視認性が極めて高くなり、認識負荷が減り本来作業に集中できます。
>必ずしも、作業領域(広さ)と表示情報量(情報量)が同じでないこと、誤解無いようにされた方が良いかと思います。
こちらでご指摘されているところは「1、スケーリング時の作業領域は普通のモニタと変わらない」でのお話でしょうか。この話では作業領域に限定して話をしており、おっしゃられている表示情報量のお話とは混同しないものと思われます。
おそらく表示情報量の話は4K、5Kのメリットの話です。この記事ではデメリットの話を中心にしているので、わざわざメリットの話を加えると余計わかりにくく、誤解をまねくことになるかと思われます。
すでに述べられている文章中で間違いがあれば訂正致しますが、述べられている内容とは別な話を加え、文の構成を乱すようなことは致しかねます。
ご指摘いただいたところ申し訳ありませんが、ご了承のほどよろしくお願いします。
なお、コメント欄にて本記事の議論をかわすのは大歓迎ですので、肯定的な意見も否定的な意見もどんどんお寄せください^_^
外部モニター解像度 FHD(1980×1080)のPCと4K(3840×2160)のPCとでは4kモニターの画質はどうなりますか、また同じ作業領域でのスケーリングについては何%になりますか
ドリューさん
>外部モニター解像度 FHD(1980×1080)のPCと4K(3840×2160)のPCとでは4kモニターの画質はどうなりますか
最大映像出力解像度がFHDのPCと4KのPCそれぞれを4Kモニタに映すと画質はどうなるか?ということでしょうか?
当然ですが、4K出力対応のPCの方が4Kをフルに活かせるので画質は良いです。FHD出力しか対応していないPCを4Kモニタに映すと4Kよりぼやけて表示されることになると思います。
>また同じ作業領域でのスケーリングについては何%になりますか
作業領域をFHD(1980×1080)とするなら
FHD → 100%
4K → 200%
です。
Windowsのスケーリング100%に戻れない身体になってしまったので必然的に23.8インチ4Kしか選択肢がなくなってしまった人です(27インチ5Kも考えたが価格的に断念)
ジャギー大嫌い……
32インチ, 40インチのディスプレイも一般的によく使われていますが、記事中で虚偽の表記を行うことについてどうお考えでしょうか
aさん
2021年2月21日時点のモニターの画面サイズのシェアです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5fc7f57a42f7586bece7eac859c89565454b1328
BCNによりますと
“ここ数年でインチサイズの大きな変化はない。1月時点で販売台数構成比は20インチ台が74.7%と過半を占める。中でも22インチ以上24インチ未満が30.8%と最も売れている。30インチ以上の大型ディスプレイは6.5%を占めている。平均インチサイズは24.7インチだ。”
と述べられています。
32インチや40インチのディスプレイが一般的に使われているという意見はおそらく「テレビ」の話ではないかと思います。
以前のコメントでも述べていますが、「モニター」と「テレビ」では意図する用途が違うので「モニター」の一般的なサイズである24〜27インチ辺りに焦点を当ててお話しています。
「ただ作業領域を拡張したい人」にはむしろオススメなのでは?
スケーリングオフにすれば4倍の情報量ですよ?
iMac 27インチ5Kの出力をLGの6〜7万クラスの4Kモニタに、
解像度・色調調整を調整して同時出力すると、
あきらかにiMacのディスプレイ(これもLG?)の方が画質が落ちます。
私はプロのデザイナーですが、小学生でもわかるくらい、
4Kモデルのざらつき感が目立ちます。
Windowsは使った事がないのでわかりませんが、Macなら4Kは画質低下で我慢。
HDなんかは実用にはほど遠いと思います。
すみません、書き間違えました画質が落ちるのは4KのLGの方です・・