2022年9月に新しくAirPods Pro 第2世代が発売され、数年ぶりに内部チップがH2チップへとアップデートされましたが、気になることとしてワイヤレスイヤホン特有のレイテンシー(遅延)がどれくらい発生するのかということです。
普段音楽や動画を見る際には気になることはありませんが、タイミングが重要な音ゲーにおいては非常に大事な要素であります。
そこで今回は実際に音ゲーで遅延がどれくらいあるのかAirPods Pro 第2世代や過去のAirPodsを用いて測定してみました。
AirPodsで音ゲーをしたいと考えている方はぜひ参考にどうぞ。
測定方法
今回の測定方法は以下の通りです。
- 撮影機種:iPhone 12 mini 240fpsスローモーションカメラ
- 動作機種:iPad Pro 11インチ(2018年モデル)120Hz駆動ディスプレイ
- 使用イヤホン:AirPods Pro 第2世代、AirPods 第3世代、AirPods 第2世代
- 使用アプリ:太鼓の達人、プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク
測定には最大120Hzで動作するiPad Pro 11インチを用いて太鼓の達人やプロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク(以下プロセカ)のタイミング調整画面を写し、AirPodsの耳検出をオフ設定で机に置いたまま最大音量で音を鳴らし、iPhone 12 miniの240fpsスローモーションカメラで映像を撮影、タッチ→フレーム表示、フレーム表示→音までのフレーム数を数えることで、遅延を測定します。測定はそれぞれ約3回ずつ行い、その平均値を測定結果としています。
240fpsの撮影のため1フレームは約4.166ms(1ms=0.001秒)となります。
測定結果
本体スピーカー
太鼓の達人
- タッチ→フレーム表示:約70.8ms(17フレーム)
- フレーム表示→音:約-33.3ms(-6フレーム)
- 合計:約45.8ms(11フレーム)
プロセカ
- タッチ→フレーム表示:約45.8ms(11フレーム)
- フレーム表示→音:約0ms(0フレーム)
- 合計:約45.8ms(11フレーム)
本体スピーカーからの遅延に関してはどちらとも約45.8ms(約0.046秒)の遅延であることがわかりました。この程度の遅延ならば音ゲーに関しては何も問題なく、プレイできるでしょう。
AirPods 2
太鼓の達人
- タッチ→フレーム表示:約56.6ms(13.6フレーム)
- フレーム表示→音:約22.5ms(5.4フレーム)
- 合計:約79.1ms(19フレーム)
プロセカ
- タッチ→フレーム表示:約46.9ms(11.3フレーム)
- フレーム表示→音:約48.9ms(11.8フレーム)
- 合計:約95.8ms(23.1フレーム)
AirPods 第2世代の測定結果は驚くことに遅延が太鼓の達人が約79.1ms、プロセカが約95.8msととても小さく、かなり良好な結果となっていました。
以前に測定したときは約154msあったので、驚くべき改善です。定期的に送られてくるAirPodsのアップデートで遅延が改善されたのかは不明ですが、実際に太鼓の達人の「夏祭り」の鬼をプレイしても、本体スピーカーの場合と大差ないように感じました。
AirPods 3
太鼓の達人
- タッチ→フレーム表示:約64.6ms(15.5フレーム)
- フレーム表示→音:約39.6ms(9.5フレーム)
- 合計:約104.2ms(25フレーム)
プロセカ
- タッチ→フレーム表示:約54.2ms(13フレーム)
- フレーム表示→音:約50ms(12フレーム)
- 合計:約104.2ms(25フレーム)
AirPods 第3世代の測定結果は太鼓の達人が約104.2ms、プロセカが約104.2msと両者とも全く同じ結果となりました。
第2世代よりも遅延が発生していますが、それでも以前測定した約137.5msより改善されています。これもアップデートによる改善かもしれません。ちなみに第3世代からアダプティブイコライゼーションという内向きマイクでリアルタイムに音を補正する機能がついているため第2世代より遅延が発生しているものと思われます。
AirPods Pro 2(ノイキャンなし)
太鼓の達人
- タッチ→フレーム表示:約34.7ms(8.3フレーム)
- フレーム表示→音:約25ms(6フレーム)
- 合計:約59.7ms(14.3フレーム)
プロセカ
- タッチ→フレーム表示:約44.4ms(10.7フレーム)
- フレーム表示→音:約55.5ms(13.3フレーム)
- 合計:約99.9ms(24フレーム)
AirPods Pro 第2世代(ノイズキャンセリングオフ)の測定結果は太鼓の達人が約59.7ms、プロセカが約99.9msと両者で大きな開きがある結果となりました。
太鼓の達人の遅延に関しては今回検証したモデルで最小の結果となっており、もはや本体スピーカーの場合とほぼ同等の遅延となっています。実際に太鼓の達人の「夏祭り」鬼レベルをプレイした際も本体スピーカーとの違いがわからないほどでした。
一方で、プロセカは太鼓の達人の倍近くの遅延が発生しています。それでも今回検証したモデルの中では最小のAirPods 第2世代と約0.005秒ほどの違いで、ワイヤレスイヤホンとしては非常に小さい遅延です。実際にプレイしてみると「Tell Your World」のEXPERTレベルが特に目立った遅延を感じずにプレイできるほどではありました。
AirPods Pro 2(ノイキャンあり)
太鼓の達人
- タッチ→フレーム表示:約43ms(10.3フレーム)
- フレーム表示→音:約68ms(16.3フレーム)
- 合計:約111ms(26.6フレーム)
プロセカ(ノイキャン動作不明)
- タッチ→フレーム表示:約48.7ms(11.7フレーム)
- フレーム表示→音:約59.7ms(14.3フレーム)
- 合計:約108.4ms(26フレーム)
AirPods Pro 第2世代(ノイズキャンセリングオン)の測定結果は太鼓の達人が約111ms、プロセカが約108.4msと両者ともに似た結果となりました。
太鼓の達人は明らかにノイキャンオフの場合より遅延が発生していますが、プロセカはなぜかノイキャンオフの場合と大差ない結果となっています。ただし、プロセカに関しては測定後にノイズキャンセリングが勝手にオフの状態となっており、測定中もノイズキャンセリングが効いていたのかは不明だったため参考程度の遅延として見た方が良いでしょう。ちなみに耳に入れた状態でプレイすればノイキャンはしっかり動作します。
総評
今回の測定結果で分かったのは今回検証したどのAirPodsも十分実用レベルに遅延が改善されているということです。
これがAirPodsの内部アップデートによるものなのかは不明ですが、ここまで改善されているのならAppleはもっと大々的に宣伝しても良かったのでは?と思うほどです。
少なくとも2021年11月に遅延を測定した際の結果よりも大幅に改善されていました↓
AirPods Pro 第2世代に関しては今回検証したモデルの中では遅延が非常に小さい結果となっており、音ゲーも十分実用的に使用できるワイヤレスイヤホンのように感じました。ただし、プレイする場合はノイズキャンセリングはオフ(外部音取り込みモードもオフ)にしておいた方が良いでしょう。
なお、上記の遅延測定結果はあくまでもスローモーション撮影と個人的な観測をもとにしたものとなります。
精密な遅延を測定したわけではありませんので、あくまで目安程度にどうぞ。
コメント