iPad Proが発売されてしばらく経ちましたが、実物を触って使い勝手を確かめてみたり、実際にiPadでPCのような作業をしてみて思ったiPad Proに対する結論は「iPad ProはノートPCの代わりにはならない」ということでした。
なぜノートPCの代わりにはならないのか?
iPad ProはなぜノートPCの代わりにはならないのかと言いますとその理由は明らかです。
それはOSがiOSだからです。
iOSはiOS9でiPadにおいて画面分割し2つアプリを同時に開けるSplit Viewに対応し、少しはPCの使い勝手に近づきました。しかし同時に表示できるのはあくまで2つです(ビデオのピクチャインピクチャを含めますと最大3つですが)
PCで作業する人の多くは同時に複数のアプリを開くことがほとんどです。それは2つ、3つの話ではなく、4つを超えることも少なくありません。
このように複数のアプリを同時に開いている人にとっては最大3つ(一つはビデオのみ)しか表示できないというのは、作業をする上で大きなネックとなります。
また、ノートPCの代わりにはなれない理由はそれだけではありません。
これは実際にiPadをPCの代わりに使ってみるとわかるのですが、PCと比べるとちょっとした動作がやたらと面倒に感じるのです。
例えばある画像を編集し、保存して、ブログに投稿するとします。
作業自体はiPadもPCも基本的に同じで、
編集アプリで画像を開く→フォルダなどに名前をつけてデータ保存→そのままそのフォルダからブログに画像を投稿
という流れになっています。
なんてことはない作業のはずですが、iPadでこれをやると非常に面倒なのです。
具体的にはアプリの切り替えでSplit Viewからいちいちアプリを選ばなければならなかったり、データを保存する先を選ぶのが面倒だったり、データに名前をつける作業も面倒だったり、ブログに画像を投稿する際にもいちいちアプリを選択して投稿する必要があったり、ととにかくちょっとした作業を行うのに必要な手間が格段に増えるのです。
ちなみに実際にそれをやってみた記事がこちら
これは性能の問題ではなく、OSの問題なので、iOSにおいてこのPCだとなんでもない作業にかかる手間が改善されない限り、iPadがノートPCの代わりになることはありえないでしょう。
別にiPad「Pro」である必要がない
iPad ProがノートPCの代わりにならない理由は以上ですが、iPad Proに関してはもう一つ言いたいことがあります。
それはiPad Proでできることは他のiPadでも大抵できるということです。
なにしろOSがiOSなので、iOSを搭載している限り、他のiPadと大した差はないということです。
ではiPad Proである必要性はどこにあるのかについて考えてみますと、おそらく以下の点があげられます。
- 画面が大きい(12.9インチ)
- 高性能
- スピーカーの音質がいい
- Apple Pencilが使える
- Smart Keyboardが使える
- Lightning端子がUSB3.0対応
それぞれの必要性について考えてみます。
画面が大きい
これはiPad Proにしかないもので、他のiPadと大きな差別化となるものでしょう。
画面が大きいことは便利なのですが、タブレットという持ち運ぶデバイスという観点で考えますとこれは逆にデメリットでもあります。画面が大きいので、持ち運ぶにはちょっと不便だし、重さもSmart Keyboardと合わせると1kgを超えるので、最近の軽量ノートPCと大差ありません。
使い勝手を考えるのならノートPCを持ち運んだほうが明らかにいいでしょう。
高性能
これはiPad Proの大きな特徴でもあるのですが、正直なところ高性能でもiOSなのであまり使い道がありません。高度な動画編集、画像編集をする際に役立つのでしょうけど、作業自体は他のiPadでもできます。
iPad Air2やiPad mini4ならSplit Viewも使えますし、十分高性能なので、性能面においてはよほど高度な作業でもしない限りiPad Proである必要はないでしょう。
それに次期iPadで性能がProに近づけば、それこそProの必要性が薄れます。
スピーカーの音質がいい
これもiPad Proの特徴ではありますが、音質に不満がある人はBluetoothスピーカーを使うことでしょうし、最近のiPadはProでなくとも音質はいいです。
スピーカーの音質がいいのは良いことですが、このために買う必要性は特に無いでしょう。
Apple Pencilが使える
iPad Proの最も大きな特徴はApple Pencilが使える点でしょう。
iPad ProにはApple Pencil用のタッチパネルが搭載されており、今のところ他のiPadでApple Pencilを使うことはできません。
しかし、次期iPadなどでApple Pencilが使えるようになれば、iPad Proの存在価値が一気に薄れます。
Smart Keyboardが使える
Smart KeyboardはiPad Proだけのために用意された純正アクセサリです。
カバーと一体化しており、本体にくっつけるだけでペアリングは必要ないため便利だとは思いますが、他のiPadでもBluetoothキーボードアクセサリなどで代用できます。
Lightning端子がUSB3.0対応
iPad ProはLightning端子がUSB3.0対応しているようで、SDカードの写真データの取り込みなどがより高速に行えます。
この点に関しても他のiPadでもUSB3.0にアップデートされることが期待できるでしょう。
おそらくiPad Proの最も本質的な価値は画面が大きいことだけでしょう。
その理由は上記の通り他の機能などは他のiPadシリーズや今後のアップデート、アクセサリなどで実現可能であるからです。しかもApple Pencil対応などは次期iPadなどで実現することも予想されます。
では画面が大きいことは価値があるのかといいますと、タブレットにおいてはそうでもないでしょう。
そもそもタブレットとはノートPCよりも気軽に使えるデバイスであるはずです。
それなのにノートPC並に大きく携帯性もそこまでよくない、しかもノートPCより使い勝手が悪いとなれば、その必要性はほとんどないように思われます。
それならよりコンパクトで手軽に使えるiPadやiPad miniで十分だと言えるでしょう。
まとめ
とりあえず現状のiPad Proに関して言えることは
「ノートPCの代わりにはならない」ことと
「iPadのProを選ぶ必要性は画面が大きいこと以外あまりない」ことでしょう。
ただ、これはあくまで現状での話であり、今後iOSがPCの操作性に近づくことがあれば、iPad Proを選ぶ価値が出てくるかもしれません。
Appleもそれを目指しているからこそiPad Proのような商品を投入した、ということも十分考えられます。
さんざん批判して来ましたが、iPad Proは買ってはいけないという話ではなく、なにかしら価値を見出したのであれば、作業に最適なデバイスにもなりうると思います。
しかし、購入する際は他のiPadなどと比較し、本当にiPad Proでいいのか慎重になる必要はあるでしょう。
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