スマホは片手操作が快適にできるサイズが一番良いと信じてやまない筆者ですが、ベストな画面サイズは一体どれくらいなのでしょう。
個人的にかなり気になったので、理論的にベストなサイズ感を分析してみました。
一般的な手の大きさ
まずは一般的な手の大きさから考えてみます。
AIST 日本人の手の寸法データによりますと、手の大きさは以下の通りです。
- 成人男性平均
- 手の長さ:183.4mm
- 手の幅:104.2mm
- 親指:60.8mm
- 成人女性平均
- 手の長さ:169.3mm
- 手の幅:91.9mm
- 親指:56.0mm
各項目の詳細な測定方法はデータ元を参考にどうぞ。
片手操作可能な範囲
MailOnlineの分析によれば片手操作可能な範囲は以下の通りになる模様
- 米成人男性(平均手長188mm基準)
- 快適に届く:2.74インチ(69.5mm)
- 伸ばせば届く:3.74インチ(94.9mm)
- 米成人女性(平均手長171mm基準)
- 快適に届く:2.41インチ(61.2mm)
- 伸ばせば届く:3.41インチ(86.6mm)
この基準に基づくと4.7インチiPhone 6の場合、指の届く範囲は以下の通りになります。
ただし、これは米国基準なので、日本人はこれよりわずかに狭いです。
実際に米基準の片手操作範囲を日本基準に直したものがこちら
- 日本成人男性(平均手長183.4mm基準)
- 快適に届く:2.67インチ(67.8mm)
- 伸ばせば届く:3.65インチ(92.6mm)
- 日本成人女性(平均手長169.3mm基準)
- 快適に届く:2.39インチ(60.6mm)
- 伸ばせば届く:3.37インチ(85.7mm)
米基準より約1〜2mm程度小さくなるようです。誤差の範囲とも言えるかもしれません。
快適に指が届くベストな画面サイズは?
上記のデータを元に理論上ベストな画面サイズを考えてみます。
重要なのは親指の根本の位置です。片手操作は基本親指で行うため親指の根本の位置がどこにあるかで操作可能な範囲が変わります。
画面右下の場合
一番単純な画面右下に親指根本の位置があった場合で考えてみます。
左が成人男性、右が成人女性、+が親指の根本位置(以下同様)
この場合、指が快適に届く範囲=画面サイズとなります。
そのため日本人男性なら2.67インチ、日本人女性なら2.39インチとなります。
しかし、実際画面右下に親指根本を置くと低すぎて持ちにくい上に操作範囲も狭くなるので、普段はまずありえない持ち方でしょう。
画面右中央よりやや下の場合
一番ありうる親指の根本位置が画面右中央よりやや下の場合で考えてみます。
この場合、日本人男性は3.53インチ、日本人女性は3.21インチが快適に届くサイズとなりました。
驚くことに成人男性の場合はスティーブジョブズが頑なに変えなかったことで有名な初代iPhone〜4Sまでの3.5インチという画面サイズと一致しています。さらに画面の縦横の比率(アスペクト比)も4.35:3で、初期iPhoneのアスペクト比4:3に近いものとなっていました。
まさか理論的にここまで一致するとは思いませんでした。計算してみて驚きです。
指を伸ばせば届くベストな画面サイズは?
快適に届く画面サイズは上記の通りですが、今どきのスマホはここまで画面が小さいものは特定の機種を除いてほとんど存在しません。
そのため指を伸ばせば届く範囲でのベストな画面サイズを考えてみます。
そのまま引き伸ばした場合
先ほどの画面右中央よりやや下の位置からそのまま指が届く範囲まで引き伸ばしたものがこちらです。
成人男性は4.5インチ、成人女性は4.26インチが伸ばせば指が届く画面サイズとなります。
これでも現行のスマホには遠く及ばない画面サイズですね。ただ、縦横の画面比(アスペクト比)が4.34:3とやや横長で、最近のスマホによくある縦長のアスペクト比とは異なるためそちらに合わせたアスペクト比で考えてみます。
アスペクト比16:9の場合
少し前の一般的なスマホのアスペクト比16:9に合わせた場合がこちらです。
成人男性は4.62インチ、成人女性は4.33インチが指を伸ばせば届く画面サイズとなります。
こちらでも驚くことに成人男性は4.7インチのiPhone 6〜8、SE2に近いサイズとなりました。アスペクト比も同じ16:9なので、かなり近いです。おそらく米成人男性基準なら全体をギリギリカバーできるサイズ感なのでしょう。
アスペクト比19.5:9の場合
iPhone X以降から採用され始めた縦長のアスペクト比19.5:9に合わせた結果がこちらです。
成人男性は4.63インチ、成人女性は4.37インチが指を伸ばせば届く画面サイズとなっています。
アスペクト比19.5:9で考えた場合は16:9の場合と大差ない結果となりました。最近の縦長スマホは横幅を細くする代わりに縦に画面を伸ばすことで持ちやすさを維持しつつ、より多くの情報量を表示するスタイルとなっていますので、縦長画面の上の方は指が届かなくてもいいという感じなのでしょう。
Androidの場合、戻るボタンは基本的に下にあるため横がある程度細ければ、縦の長さはそこまで気にする必要はありませんが、iPhoneの場合は戻るボタンは左上に来ることが多いので、縦長になればなるほど遠く届きにくくなります。
理論的にベストな画面サイズ
今回の結果から理論的にベストな画面サイズは
全体に指が快適に届く場合は
成人男性が3.53インチ、成人女性は3.21インチ(アスペクト比4.35:3)
指を伸ばせば届く場合は
成人男性は4.62インチ、成人女性は4.33インチ(アスペクト比16:9)
となっていることが判明しました。
この結果から分かることは現状これを満たす画面サイズのスマホはほぼないということです。
日本で売ってるスマホで考えますと、快適に指が届く範囲のスマホは楽天モバイルの3.6インチの「Rakuten mini」くらいです。あとは指を伸ばせばギリギリ届くのは4.7インチiPhone 6〜8、SE2くらいですね。
新たに発表された5.4インチiPhone 12 miniは4.7インチiPhoneよりも横幅は細いものの、縦長なので上側の方はギリギリ片手で届かないサイズです。それでも現状の大画面なスマホの中では唯一ギリギリ片手操作できるスマホと言えるかもしれません。
個人的には4インチiPhone SEを使用していて操作性や使い勝手などにはほとんど不満はないので、このサイズのまま新モデルが登場して欲しかったのですが、iPhone SE第2世代が4.7インチに大型化されたことでその可能性はほぼなくなったので、iPhone 12 miniに期待するしかなさそうです。
以上、理論的にベストな画面サイズ分析結果でした。
参考になれば幸いです。
※2020/11/2追記
快適に片手操作できる本体サイズの大きさ分析を行いました。
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