ガジェット関係の詳細なレビューを行うPCMagはApple Pro Display XDRの色測定・他社製モニタとの比較結果などを公開しました。
リファレンスモニタを名乗れるレベルか
同メディアではApple Pro Display XDRがリファレンスモニタ(色の最終評価を行うためのプロ向けモニタ)を名乗るのに重要となる色の範囲(色域)・持続可能な明るさ・色の精度などについて他社製モニタと比較しつつ測定しています。
色域
同メディアは色域の評価を行うためにキャリブレーションソフトウェア「CalMAN Portrait Display」、測色計「Klein K10-A」、分光計「X-Rite Pro 3 Plus」を用いて検証しています。
ただし、Apple Pro Display XDRはMac製品でしか動作しないため、WindowsのソフトであるCalMANを正しく動作させるためにMacBook ProにBootCampでWindows 10を入れて、他社製モニタと条件をそろえた上でテストを行っています。
sRGB
一般的な色規格であるsRGBの色域測定結果は94.3%と他のモニタよりも劣るものとなっています。
しかしこの結果について同メディアでは、ほとんどのユーザーにとって十分なものであるとし、そもそもこの価格帯のモニターを購入した人がsRGBの色域で使用することはあまりないだろうとしています。
Adobe RGB
印刷業界で広く使用されるAdobe RGBの色域測定結果は96.7%ととても優れたものとなっています。
しかし、ビジネス向けモニタであるDELL U3219Qは98.1%となっており、Pro Display XDRより良い結果を出したことに驚きを隠せないと述べています。
DCI-P3
主に映画業界で用いられるDCI-P3の色域測定結果は98.7%となっており、他社製モニタを圧倒しています。
この結果は公称値である99%の色域とほとんど誤差のない結果で、同メディアのテストで2番目に高いスコアとなる有機ELモニタAlienware 55の96.5%よりもさらに高いとのこと。
輝度
輝度のテストではSDRとHDRに分けて行われています。
測定結果は驚愕のものとのことで、SDRでは499nitであるものの、HDRでは1561nitと他社モニタよりも圧倒的に高い輝度となっています。
黒レベル・コントラスト比
上グラフは同メディアの測定結果を元に作成したもの
黒レベルの低さは0.04と液晶モニタとしては最高クラスで、576分割のローカルディミングがかなり効いていることがわかります。これにより液晶特有の黒浮きが大幅に軽減され、有機EL並の黒の深さの表示が期待されます。
Acer Predator X35も同じくローカルディミングを採用する液晶モニタではありますが、黒レベルの低さはPro Display XDRの方が優れています。
上グラフは同メディアの測定結果を元に作成したもの
最大輝度と最低輝度(黒レベル)の比較で表されるコントラスト比は39037:1とPro Display XDRが圧倒的な数値を叩き出しています。
公称値の100万:1には及びませんが、液晶モニタとしては他の追随を許さぬ最高峰のコントラストです。
色精度
色精度(ΔE)はプロレベルのコンテンツを制作する上で重要な指標で、この値が低ければ低いほど色が正確に表示されていることを示しています。
上グラフは同メディアの測定結果を元に作成したもの(N/Aはデータなし)
コンテンツ制作業界ではΔEが1.0以下のものがトップクラスと言われていますが、Pro Display XDRは0.68と最高クラスの色精度となっています。
業界では通常モニタに対し、色表示を正確にするためキャリブレーションという作業を行うのですが、Appleのこのモニタではそれを行う必要すらないレベルで、仮に行ったとしてもこの数値をさらに縮めることができるのか疑問だと同メディアでは述べられています。
また、これらの色の品質のほか、デザインや放熱構造、スタンドの操作性なども高く評価されています。
総評としてApple Pro Display XDRはリファレンスグレードのプロモニタと比較して非常に競争力のある価格ながらも並外れた色精度と品質を実現しているとのこと(プレゼンに出てきたリファレンスモニタであるSONY BVM-HX310は約400万円、Apple Pro Display XDRは約58万円)
問題点としては端子がUSB-CのみでMacでしか利用できないこと、スタンドの価格が10万円と非常に高価なこと、マットパネルにしたいならさらに10万円かかることとしています。
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