大容量メモリ=高性能ではない!真に知るべきメモリの役割とは?

Memory role-s

パソコン選びをする上で、CPU、HDD/SSD、メモリなどを見ると思いますが、CPUやHDD/SSDのことはなんとなく知ってはいてもメモリのことを詳しく知らない人がけっこう多いように思います。

メモリのことをただ知らないだけならまだいいとしても中途半端に知ってしまったせいでメモリに対して誤解を招き、大容量メモリ=高性能だと勘違いしてしまう人も多いです。

そこで今回はメモリのことを知らない人はもちろん、大容量メモリ=高性能だと勘違いしている人向けに真に知るべきメモリの役割とその選び方について解説していこうと思います。

メモリの役割とは?

そもそもメモリの役割とはなんなのでしょう?

これを知るためにはCPUとHDD/SSD(まとめて記憶装置と言います)との関連性を知る必要があります。

 

基本的にパソコンというのはHDDやSSDなどの記憶装置に保存されたデータを読み込み、そのデータをCPUで処理することで動いています。

しかし、HDDやSSDなどの記憶装置は速度が遅すぎて、高速なCPUの処理速度を活かせないことがほとんどです。

具体的には以下の通りです。

Memory role-1

上図のように2GHzのCPUは1秒間に200億回計算できるのに対し、記憶装置は1秒間に1億〜10億バイトと大きな差があります(単位が違うので比較しにくいですが、イメージとしてはこのくらい差があります)

仮にこのままの状態でゲームをやったとすると、キャラクターのデータなどを毎回記憶装置から読み込む必要があり、一歩動く度にローディング画面が表示されるような状態になるでしょう笑

 

これがメモリがあるとこうなります。

Memory role-2

CPUが1秒間に200億回計算できるのに対し、メモリが1秒間に100億バイトと一気に数字が近くなりました。あとはこのメモリに記憶装置のデータを一時的に保存すれば、CPUの性能が最大限発揮しやすくなるわけです。

ゲームをするときもこのメモリにキャラクターのデータなど頻繁に使うデータを保存することで、常にローディング画面が表示されることなくゲームがプレイできているわけです。

 

つまりメモリとはHDDやSSDなどの記憶装置だけでは発揮できないCPUの性能を最大限発揮できるよう補助する超高速な記憶装置と言えるのです。

逆に言えば、メモリ並みに超高速なHDD/SSDなどがあればメモリはいらないということになります。ただし、寿命などの問題も考えると性質上、実質半永久的に使えるメモリのほうが実用的ではありますが。

 

メモリの容量の意味とは?

先ほどの説明で、メモリはCPU性能を最大限発揮するために記憶装置のデータを一時的に保存する補助的な装置と言いましたが、

メモリの容量とはつまり記憶装置のデータを一時的に保存可能な最大データ量のことを言います。

 

ここで「一時的に」という言葉が用いられていますが、これは記憶装置は自分で消したり、編集したりしない限り「永久に」データが保存されるのに対し、メモリは使用するアプリによって「一時的に」データが保存される装置であり、電源を落とすとメモリ内のデータは消えるという性質があります。

メモリの容量は記憶装置の容量よりはるかに少ないので、アプリが終了すればその分メモリに保存されていたデータは自動的に消去するという処理を行うようになっています。

 

ここで勘違いしやすいのは冒頭でも述べたように大容量メモリ=高性能なのでは?ということです。

たしかにメモリの容量は大きい方が良いように思いますが、実際に使われるメモリの量はアプリごとにある程度決まっていることが多いのです。

FHD FFXIVbench-1

FFXIV 蒼天のイシュガルドベンチマーク(画像参考:jisaku-game.com

例えば定番ベンチマークソフトにもなっているPC向けゲーム「FFXIV 蒼天のイシュガルド」は非常に高画質でスペックが要求されるゲームとしても有名ですが、

このゲームのメモリ使用量は大きくてもせいぜい2GB程度と言われています。(参考:FFXIV公式フォーラム

このような高画質ゲームをする人ほどメモリ量が大きい方が良いのでは?と勘違いしやすいですが、実際はそんなことはなく、どんなにメモリ容量が大きくとも最低限必要なメモリ容量さえあればゲームの性能に全く影響しないということがほとんどです。

むしろゲームの性能に影響するとすれば「メモリの速度」でしょう。それは後ほど説明します。

 

高画質ゲーム以外のメモリ消費量も見てみますと、

標準で消費するメモリ:約1GB〜1.5GB

インターネットをする場合(開くページの数にもよります):約150MB〜

ワード、エクセル、パワーポイント:約100MB〜

PC版マインクラフト:約100MB〜1GB

となっており、一つ一つのアプリのメモリ消費量は思いのほか少ないことが多いです。

 

このようにたとえ高画質なゲームをする場合であっても、いろいろな作業を同時にする場合であってもメモリの容量はある程度の量があれば、それ以上は必要なく、大容量メモリ=高性能とは言い切れないのです。

どんなにメモリ容量が高くともそれを活かすアプリやソフトがなければ、ただの宝の持ち腐れになってしまうというわけです。

 

メモリの選び方とは?

では、上記の点をふまえましてここからは具体的なメモリの選び方について解説します。

と言ってもメモリの性能で見るべき項目はたった2つだけです。

それは「容量」「動作周波数」です。

 

「容量」は先ほども説明したように一時的に保存可能な最大データ量

「動作周波数」は先ほどの図で1333MHzと表記されていたいわばメモリの速度のことを言います。パソコンの性能に影響するとすれば「容量」よりもむしろこちらの「動作周波数」のほうが大きいです。

 

まずメモリの容量を選ぶ基準についてですが、これははっきり決まっていて

ウェブ閲覧、動画視聴メインの一般ユーザー:4GB

画像、動画編集、高画質ゲームなどを行うユーザー:8GB

4K、5K動画編集やシミュレーションなどを行うプロユーザー:16GB〜

となっています。これは個人基準ですが、経験上これでほぼ間違いありません。

 

メモリの動作周波数を選ぶ基準は少しやっかいで、CPUと同様に世代ごとにどんどん高速化しているので、ここでその基準を述べてもすぐに更新されてしまうと思います^^;

少なくとも投稿時点の場合(2017/1/26)は

一般ユーザー:1,333〜1,866MHz

高画質ゲームを行うユーザー、プロユーザー:2,133MHz〜

となるでしょう。

とはいえ、これはメモリ容量とは違い、動作周波数は高ければ高いほどよいので、一般ユーザーでもより性能を良くしたいのであれば、メモリ速度は高いほうが良いでしょう。

 

ちなみにメモリは世代を表す記号としてDDR○という形式が用いられています。

知っておいて損はないので解説しておきますと、

DDR○:○に世代を表す数字が入る、現行主流はDDR3

LPDDR○:DDR○の低消費電力版、主にスマホ、タブレットなどに用いられる

となっています。現在主流はDDR3ですが、より電力などが効率化されたDDR4も登場していますので、できればDDR4世代のメモリを使用したいところです。

 

以上がメモリを選ぶ基準となります。

自作PCなどの方で換装するためのメモリがほしいという方はこれ以外にメモリの規格と対応CPU、マザーボードなどを確認する必要があります。それについてはここでは述べませんので、他サイトを参考にするようお願いします。

 

ひとまず、大容量メモリ=高性能ではないということがご理解いただけたでしょうか?

これを機にパソコンのメモリ選びの基準を考え直して、しっかり自分に最適なパソコンを選ぶことができるようになっていただければ幸いです^_^

 

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